猫ちゃんの病気あれこれ
ここでは猫ちゃんにまつわる病気について、いくつかご紹介します。
感染症としては…
甲状腺亢進症
シニア期の猫ちゃんの10頭に1頭が発症しているとされる「甲状腺機能亢進症」は、猫ちゃんのホルモンの病気では最も多い疾患です。
状腺ホルモンが過剰に分泌され、全身にさまざまな臨床症状が現れる病気です。
中・高年齢の猫ちゃんがかかりやすく、代謝が活発になることで、一見元気そうには見えるものの徐々に消耗していくという疾患です。
このため毎日をともに過ごしていると、猫ちゃんの変化に気づきにくい特徴を持つ疾患です。
特徴的な臨床兆候
- 体重減少
- 頻脈(心拍数増加)
- 多食(よく食べるのに痩せる)
- 攻撃性などの行動変化
- 脱毛
- 多飲多尿
- 甲状腺の腫大
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病とは、蛋白尿などの腎臓の障害や機能低下が3カ月以上続く状態をいいます。
腎臓の機能が少しずつ損なわれていき、やがて腎臓が正常に働かなくなるという高齢の猫ちゃんに多い病気です。
またいったん悪くなると、回復することはありません。
症状が表に出始めるのは、腎臓の機能の約7割が失われたころになります。このため定期的な検診が大切となります。
他の腎疾患、泌尿器疾患、感染症などが起因となって発症することもあります。
ポイントは、早期発見、早期治療によって腎臓機能の低下を防ぐことが重要です。
初期にははっきりと症状が現れにくいため、年に1~2回は尿検査と血液検査を受けることをおすすめします。
主な検査 BUN/Cre/IP/Na/K/Cl/尿検査(タンパク・比重など)
特徴的な臨床兆候
- 多飲多尿
- おう吐がある
- 体重減少
- 下痢をする
- 貧血を起こす
糖尿病
糖尿病は、すい臓で作られるインスリンが不足したり、うまく作用しないことにより血液中の糖(ブドウ糖)が細胞内に取り込まれず高血糖となり、さまざまな不調を引き起こす病気です。
原因は人のⅡ型糖尿病と類似したもの、慢性膵炎、医原性糖尿病などがあります。男の猫ちゃんに多く発症する傾向があり、肥満気味の猫ちゃんや高齢の猫ちゃんで発生率が高くなります。
ポイントは、Ⅱ型糖尿病は肥満や生活習慣、ストレスと深く関係があると考えられています。日頃から、ストレスや肥満を防ぐことがいちばんの予防です。
また治療では、血糖値のコントロールが重要です。
特徴的な臨床兆候
- 多飲多尿
- 脱水を起こす
- 体重減少
- 歩き方がおかしい
- 元気喪失
- おう吐がある
- 下痢をする
感染症
猫エイズ(猫免疫不全ウィルス感染症)※
猫免疫不全ウィルス(FIV)の感染により発症します。主に感染猫ちゃんとの交尾やケンカによる噛み傷などの口まわりの傷が原因となります。
猫エイズは人間のエイズと同様に免疫機能が働かなくなり、抵抗力が落ちてしまいます。
症状は、感染初期に発熱、下痢、リンパ節の腫れなどがみられ、後に無症状の時期が続き、その後口内炎や慢性の鼻炎、腸炎、皮膚炎などが多くなり、さまざまな病気を併発します。
※ 「猫免疫不全ウィルス(FIV)感染症」は一般的に「猫エイズ」と呼ばれていますが、正確にはエイズは「後天性免疫不全症候群( Acquired Immune Deficiency Syndrome:AIDS )」となります。つまり「猫免疫不全ウィルス(FIV)感染症」の病態の一つが「猫エイズ」ということです。
主な検査:猫免疫不全ウィルス(FIV)抗体・PCR検査
猫白血病ウィルス感染症
猫白血病ウィルス感染によって発症します。
初期症状として、発熱、元気消失がみられます。またリンパ腫などの腫瘍性疾患から骨髄への感染へと感染が進行すると、再生不良性貧血や白血球減少症などを発症し、免疫力が落ち、さまざまな病気を併発します。
主な検査:猫白血病ウィルス(FeLV)抗原・PCR検査
猫伝染性腹膜炎(FIP)
猫伝染腹膜炎ウィルス(FIPV)の感染によって発症します。
発症すると発熱、食欲低下、おう吐、下痢などによる体重減少が見られます。また腹水や胸水がたまったり、中枢神経系に異常をきたす場合があります。
現状、猫伝染性腹膜炎を完全に治す方法は確立されていません。
主な検査:猫コロナウィルス(FcoV)抗体・PCR検査
トキソプラズマ症
トキソプラズマという寄生虫の感染による病気です。
人や他の動物にも感染する人獣共通感染症です。症状は書記に一過性の下痢がみられる程度ですが、幼い猫ちゃんや免疫力の落ちた猫ちゃんだと消火器系に症状があらわれます。妊婦が感染すると先天性感染により、流産や死産を起こす危険性があるので注意が必要です。
主な検査:トキソプラズマ抗体・PCR検査
猫ちゃんの健康のためにできること
大切な小さな家族と過ごすために、猫ちゃんの健康のためにできることをお伝えします。
- 毎年1~2回は、健康診断を受けましょう
血液検査や尿検査で猫ちゃんに多い病気のチェックが可能です。 - ワクチン接種を行いましょう
- 猫ちゃんの生活環境を整えましょう
猫ちゃんがストレスをためないように、清潔で快適な生活環境を心掛け、健康管理に気を付けてあげましょう。