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犬ちゃん・猫ちゃんのマイクロチップ

動物愛護管理法により犬ちゃん、猫ちゃんへのマイクロチップ装着に関する制度が令和4年6月1日から施工されました。

今、既に犬ちゃん、猫ちゃんと暮らしている方も耳にされていると思います。今回、このマイクロチップについて解説をしたいと思います。

制度の概要

令和4年6月1日から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬ちゃんや猫ちゃんについて、マイクロチップを装着することが義務化されました。

これによりブリーダーやペットショップ等から迎い入れた犬ちゃんや猫ちゃんにはマイクロチップが装着されていることになります。ブリーダーや販売事業者からも説明があると思いますが、迎い入れた時点でそのマイクロチップに対応する情報(環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」データベースに登録されている情報)には、販売事業者が所有者として登録されています。

このため飼い主になった際には、迎い入れから30日以内にこの所有者情報を販売事業者から新しく飼い主となったご自身へ変更する必要があります(変更登録 ※)。

※ 登録変更は、代行業者等を利用せず、ご自身で対応する必要があります。

また他者から犬ちゃんや猫ちゃんを譲り受けて、その犬ちゃんや猫ちゃんへ獣医師に依頼してマイクロチップを新規装着した場合にも、飼い主様ご本人の情報を新規に登録する必要があります。(新規登録 ※※)

※※新規変更は、代行業者等を利用せず、ご自身で対応する必要があります。

制度の適用範囲

犬、猫を販売する事業者

ペットショップやブリーダーなどの犬ちゃんや猫ちゃんを販売する事業者には、令和4年6月以降に取得(※)した犬ちゃん、猫ちゃんへのマイクロチップの装着をするよう義務付けられました。

※ 制度開始前にその事業所で生まれた犬ちゃん、猫ちゃんなど、一部例外があります。

令和4年6月以降に犬、猫と暮らし始めた方

令和4年6月以降にブリーダーやペットショップといった販売業者からマイクロチップが装着されている犬ちゃんや猫ちゃんを飼い始めた場合、その飼い主は30日以内に飼い主情報を登録しなければなりません。

販売業者以外、具体的には知人や動物保護団体から犬ちゃんや猫ちゃんを譲り受けた場合やご自宅で出産した場合には、マイクロチップの装着は必須ではありませんが、装着するように努めてください(努力義務)となっています。

令和4年6月以前から犬、猫と暮らしている方

マイクロチップを装着していない方

犬、猫の飼い主の皆さまには、一緒に暮らす犬ちゃん、猫ちゃんにマイクロチップを装着するよう努めることが規定されました。

マイクロチップ装着をご検討の方

マイクロチップを既に装着してる方

令和4年6月以前から飼い主さまと一緒に暮らすマイクロチップを装着した犬ちゃんや猫ちゃんについては、登録の義務はありません。

ただし令和4年6月から実施された新しい情報登録システムには自動的に反映されません。新しいシステムへ移行登録をご希望される場合には、日本獣医師会に問合せする必要があります。

移転登録を希望する場合は、下記までお問合せください。


公益社団法人 日本獣医師会(TEL:03-3475-1695 E-mail:info@mc.env.go.jp


※ スマホからメールする場合は、変身のメールが迷惑メールとならないよう設定をお願いいたします。

制度化の背景

マイクロチップを装着していない飼い主さまに伺うと…

  • 「うちの子は、大人しいから逃げだしたりしないから…」
  • 「身体に異物を入れることに少し抵抗がある…」
  • 「マイクロチップを埋め込む時、痛い思いをさせるのが忍びない…」

というお話をされていました。飼い主さまそれぞれのお気持ちは、たいへん良くわかります。

それでは、今、なぜマイクロチップが法律として施工されたのかを知るためにも、施行された背景についてお話しします。

災害発生後の教訓から

2011年3月に発生した東日本大震災では、震災による家屋等の損壊により、多くの犬ちゃん、猫ちゃんたちが飼い主さまと離れ離れとなり、自治体に保護されました。

自治体で保護した犬ちゃん、猫ちゃんのうち、首輪に「鑑札」や「迷子札」がつけてあった子は、すぐに飼い主さまと再会を果たすことができました。ですが、首輪が外れてしまった子やそもそも札がついていない子を大好きな飼い主さまへ届けるには困難を極めました。

「鑑札」、「迷子札」、「マイクロチップ」を付けていればと後悔された飼い主さまが多くいらっしゃいました。

脱走、迷子、盗難時の身元確認

  • 雷の音に驚いて脱走してしまった…
  • 扉がきちんとしまっていなくて、家から出てしまった…
  • 散歩中の最中、うれしかったのか興奮して首輪が外れ、脱走してしまった…
  • 必死で探して、やっとの思いで見つけたのに、身元を証明するすべがなかった…

当院でも迷子探しのチラシを持参し、来院される方がいらっしゃいます。探し続けている飼い主さまは、みなさん憔悴しきっています。

もし迷子札、鑑札、マイクロチップが装着されていれば、見つかる確率も高くなりますが、そうでなかった場合には、ただただ行方知れずの状況となることが多いようです。

社会問題となっている「飼育放棄」、「遺棄」

たびたびニュースでも社会問題として話題となっている「飼育放棄」や「遺棄」に関して、未然に防ぐ効力が期待されています。

迎い入れる時は、カワイイと思っても、飼い主の思い通りにならなかったり、世話が大変で飼育放棄をして故意に遺棄してしまう問題に対して、保護された段階で飼い主を特定することが可能となります。

マイクロチップをご検討の飼い主さまへ

マイクロチップとは…

個体識別マイクロチップ

マイクロチップは、画像のような円筒形で、直径が2mm、長さが12mmの大きさです。最近では、若干小さくなった直径が1.4mm、長さが8.2mmのものが主流です。

外側には生体適合ガラスが使用され、犬ちゃんと猫ちゃんの身体に影響が無いよう工夫されています。体内に埋め込むと脱落や焼失はほとんどなく、データの書き換えもできません。また電池交換などメンテナンスは不要です。

このマイクロチップには、ISO規格の個体識別番号(15桁の数字)を記録することができます。電話番号と同じで、世界で唯一の番号となります。

マイクロチップに記録された個体識別番号は、専用のバーコードリーダーで読み取ります。

個体識別番号は飼い主さまがそれぞれ情報をデータベースに登録しており、この番号をキーとして各種情報(飼い主さまのお名前、住所、電話番号など)を紐づけにして登録や参照できる仕組みです。

マイクロチップの装着

  • 動物病院にて獣医師が装着します。
  • 装着には専用の注射器を使用します。
  • マイクロチップの装着位置は、犬ちゃんも猫ちゃんも首の後ろ側:背側頸部皮下が一般的です。
  • 装着が可能となるのは、犬ちゃんの場合、生後2週齢。猫ちゃんの場合、生後4週齢と言われています。※
  • 装着が完了し問題がなければ、獣医師より「マイクロチップ装着証明書」が発行されます。この「マイクロチップ装着証明書」は、飼い主さまの情報をシステムへ登録する際に必要になりますので,なくさないよう保管してください。

※ 個体差もあることから産まれたての子の場合は、施術可能時期が異なります。獣医師にご相談ください。

環境省データベース登録

令和4年6月から施工の環境省データベース登録は下記のリンクから画面に従って登録を行ってください。

環境省登録データベース

マイクロチップ装着料金

マイクロチップ装着には、施術料金(マイクロチップ料金含)と令和4年6月から施工の環境省データベース登録費用が必要となります。

マイクロチップ装着料金

マイクロチップ装着料金
種 別 項 目 施術料金 ※
犬ちゃん・猫ちゃん マイクロチップ装着 ¥ 5,500 -

※ 表中の金額は、すべて消費税込みの金額です。

※※スマホをご利用の場合、表中をスワイプすることで、表全体をご覧になれます。

環境省データベース登録料金

環境省データベース登録料金
種 別 項 目 施術料金 ※
犬ちゃん・猫ちゃん オンライン登録 ¥  300 -
書面郵送登録 ¥ 1,000 -

※ 表中の金額は、すべて消費税込みの金額です。

※※スマホをご利用の場合、表中をスワイプすることで、表全体をご覧になれます。

最後に…

最後になりますが、当院にてマイクロチップを装着した方のお話をします。

装着を決意した想いを伺うと…

うちの子は怖がりで、お散歩も怖いくらいな性格で逃げ出すことは決してないと思っていました。

けれど留守中に災害が起き、窓や扉が壊れ、驚いたうちの子がその隙間から私たちを探しに外に出てしまうかもしれない。そんな事は無いと言い切れませんでした。

そうした時、外に出てしまった子を早く見つけ出して、安心させてあげたいときっと思うだろうと考えました。

見つかったとしても、うちの子がうちの子であるという証明をするすべがなかった時、どうすればいいのか途方に暮れるでしょう。

装着するときは、いっときの痛みを伴うこともわかっていましたが、万が一のことを想定し家族で話し合い、マイクロチップを装着しようと決めました。

装着後は、自分の名前を話して伝えることはできないけれど、うちの子の証明をこの子自身が持っているんだと実感がわき、改めて家族の一員として絆が深まった気がしています。

うちの子は人と比べれば短い一生ですが、家族みんなで幸せに暮らしていけたらと思います。

獣医師としても考えさせられるお話しでした。

マイクロチップの装着に関しては、お気持ちはいろいろとあると思いますが、今一度、できることを確認してみてください。

  • 普段から首輪をして、迷子札や鑑札をつけていらっしゃいますか?
  • 首輪、ハーネスが身体の大きさに合っていますか?
  • お散歩のリードが痛んでいたり、切れかかっていませんか?
  • リードが手から離れないような工夫はされていますか?
  • 家の外に簡単に出られないような工夫はされていますか?

この機会に「大丈夫!」だと思っていても、見直してみてください。

マイクロチップに関してコラムにまとめましたが、もしご質問等がありましたらお気軽にお問合せください。